「猛、これ・・・」
「ん?」
持ってきた紙袋から取り出したのは、不格好に焼けたチョコレートマフィン。
少し苦めで猛好みに仕上げたんだ。
「ケーキ?」
頑張って包んだ包装紙をビリビリといとも簡単に破る。
「あ。上手そう」
「ホント!?」
猛は柔らかく本当っと囁いておでこにキスをくれる。
クリスマスがかける魔法は、猛と私の距離を縮める。
立て続けに口に入れる猛。
「どう?味・・・」
そう言うと、猛の顔が近づいた。
ん、っと言う間もなく吸い込まれる私の唇。
フワッと口に広がったのはビターチョコレート。
苦いけど、とろけちゃいそうな甘い口づけ。
「たけ、」
猛の唇が首を伝って鎖骨に向かう。
「んぅっ」
プレゼントでもらったネックレスを指でずらし、そこに何度も口づけをする。
「そんな、ところっ」
「平気」
すっとネックレスを元の位置に戻す。
すると猛のキスマークがネックレスのチャームでちょうど隠れてしまった。
「澄子・・・」
「猛、大好き。これからもずっと一緒だよ」
「・・・」
返事の無い猛を不思議に思い、顔をあげると複雑な顔をする猛がいた。
「猛?」
切なそうな、悔しそうな顔。
ずっと見つめると噛み付くように再びキスの嵐。


