「あ、陽希。」
「おー、行ってらっしゃい。」
「いってきます…じゃなくて。涼がね、明日っていうか今日、帰ってくるってさ。」
陽希に友人の帰郷を告げるのは、いつの間にやら私の仕事になってしまった。
ていうか上半身裸で街をうろつくな。この辺は私の同級生も通るんだから。
「へー…あいつも大概しつけぇなあ。」
「は?」
「…いや、こっちの話。うんうん、優季はそれでいいんだぜ。」
「?じゃ、行ってきます。」
今度そんな格好で出歩いたら私自ら通報するからね、と念押しして、私は学校に向かった。
「おっはよーう!優季!」
「おはよ、飛香。」
朝っぱらから抱き付いて来ようとする飛香の頭を掴む。
私より若干高いので押さえ辛い。
「うーん、このつれなさがいいねぇ、優季は。」
「じゃあ私より桐にやればいいのに。ものすごくつれないよ、あの女は。」
「冗談、桐に抱き付こうなんて気がまず起こらないよ。」
同感だ。
