「あー…それはまた…行かなくて良かった。」
『ハハッ、本当正直だよね、優季は。』
桐の友達の瀧村蓮実(たきむら はすみ)と蒲生鈴(がもう すず)は金髪のド不良だ。
あの二人に桐を足したメンバーのなかに入ってなんか行ったら、それこそタダじゃすまないだろう。
イジり殺される。
『二人とも潰れてるから。』
「桐って…ザルってやつ?」
『まーね。でも今日は結構飲んじゃったし、明日はたぶん休むわ。』
「さいですか…。」
なんでこんな女が学年一位なのか。先生方も頭が痛いだろう。
「あ、涼にもかけ直さなきゃいけないからもう切るね。ごめん。」
『…先に涼先輩にかければよかったじゃん。』
「あれ、そんなに私と話したかったの?」
『違うよバカ、殴られたいの?』
「ごめんなさい。」
バイバイもなしに切られた電話をぼんやりと見つめる。
もしも四時間前の電話に出ていたら、と想像すると鳥肌が立った。
そんな恐ろしい想像はすぐに捨て、涼に電話をかける。
すこし遅くなってしまったが、大学生なんだし、十時に寝てるってことはないだろう。
