「しょうがないわねー。優季、送ってきなさい。」
「え、なんで私…めんどくさいなぁ。」
「目の前でめんどくさがられると傷付くなぁ…。」
「あ、ちょっと、」
渋る私の手を取って、まあ送ってよと密さんが引きずって行く。
「送るって言ったってこの距離じゃなぁ…。」
「徒歩20秒だねぇ。」
密さんが家の鍵を開けて、中に入る。
「上がってくー?」
「ううん、宿題やんなきゃ。」
「ざんねーん。」
「じゃあ泊まれば良かったじゃん。」
「…うーん……。」
「?」
急に俯いた密さんに近付く。
体調不良?悩み?
めんどうだから聞かないで早く帰ろうか、と人道に反することを考えていると…
「わっ!」
急に抱き寄せられた。
昨日の記憶が蘇る。
慌てて離れようとしても、ビクともしなかった。
何考えてんだこの野郎、人がせっかく見直したのに!
そのまま耳元で声がして、体が震えた。くすぐったいからやめてほしい。
「じゃあ今度、優ちゃんの部屋に泊めてくれるー?」
