「あ、そうだ。涼がね、こっち帰ってくるんだって。こっちで就職するみたいだよ。」
そう母と奈津希に報告すると、二人ともがばりとこっちを振り返った。
…なにその勢い。
「あらら、それは涼ちゃんから何か連絡があったのかしら?」
「え?いや、進から…。」
母親の勢いに若干引きながら今朝の話をすると、奈津希と二人して顔を見合わせてため息をついてきた。
仲良しか。
「変わらないわねー、あの子も。」
「優季もな。」
…私の話だったっけ?
心の中で首をかしげていると、隣にいた密さんが立ち上がった。
「じゃー俺はそろそろ帰るね。」
「あら、泊まって行きなさいよ。」
「いやーそういうわけにもいきませんよー。」
「暁希の布団あるぜ?」
母と奈津希の誘いに、密さんはいやいやと首を振る。
「家の片付けも終わってませんしー。」
「家に住んじゃえば?」
「おいコラ。」
そこは引くとこだろうが。
母の言葉に、思わず割り込んでしまった。
