都堂家は兄三人に妹一人。
いわゆる末っ子長女兄三人という構図なのでした。
「陽希先輩、格好よかったけどねぇ。」
「そーいえばお前、兄貴に懐いてたよな。」
「強い人にあこがれてねー。ここにも何回か来たことあるんだよー、覚えてる?優ちゃん。」
………。
笑顔で私の顔を覗きこんでくる密さん。
「あー、覚えてる覚えてる。警察から匿ったからお礼しろとかいって迫ってきましたよね。」
「それは昨日の記憶だよ、優ちゃん?」
だってなにも覚えてない。
兄達は友達が多かったから、いろんな人達が家に来て、覚えるどころじゃなかった。
陽希の友達はなんか怖い人が多かったし。
「奈津、洗濯物よー…あ、ちょうどよかったわ。優季も自分の分は持って行って。」
「はーい。」
いきなりドアを開いて洗濯物を配り出す母親。そういえばこの人もノックをしない。
この家でノックをする人種は私だけなのかもしれない。嘆かわしいことだ。
陽希の友達を思い出したからか、私は今日の学校での会話を思い出した。
