「普通さあ、ホストっていったら、ドラマとかで見てる限りじゃ親は反対するじゃん。」
「優ちゃん、子供のしたいことをさせてあげたいっていうのが親心なんじゃないですかねぇ。」
「…まあ確かにあのバカは好きなことをしまくったと思うけどさ。」
「つーか出てけ、お前ら。」
夕食後、兄たちの部屋に密さんと上がり込んで話していると、珍しく机についている奈津希が迷惑そうに振り返った。
「奈津希だって高校入ったばっかのころ、陽希のせいで苦労してたじゃん。密さん、知ってるでしょ?」
「あー、毎日先輩が俺達のクラスに来てねぇ、都堂はどこだとか俺ですとかお前じゃねぇ陽希のほうだとか、そりゃもう毎日…。」
「河島!余計なこと言ってんじゃねぇよ。」
「バカみたい。」
「優季、お前もな…。」
私だって苦労した。
入学した後、最初の授業で出席をとる度に、各先生から「あと何人いるんだ?」とため息混じりで聞かれる私。
周りのクラスメイトの困惑した視線のなか、「最後です。」と答える私。
