「…そりゃあすいませんね。」
「今日も桐ちゃんのところかなーって思ってたのに。」
「あのね、桐のとこ行く時はご飯いらないっていちいちメールしてるでしょうが。」
「律義だよなー、優季は。」
…お父さん、帰ってたんだ。
普段遅い父の帰宅に驚く。
それにしてもこの家の放任主義はなんとかならないんだろうか。
「寿彦さん、こんにちは。」
「おう、密くん。いらっしゃい。夕美のメシはうまいぞー。」
そして馴染んでるこの二人。
陽希の席に密さんが座り、いただきますをして夕食が始まる。
「陽希はもう行ったのか?」
「私が帰ってきたときはもういなかったよ。」
「最近早いのねぇ、あのこ。」
都堂家の長男、
都堂陽希(つどう はるき)はホストである。
学生時代から問題児で、成績は悪いしケンカはするしで、挙句の果てに大学も行かずに「ホストになった。」と全てが終わってから家族に報告された。
反対した、というか文句を言ったのは私だけ。
母も父も「あらそう。」とか「がんばれ。」みたいな感じだった。
