「優ちゃんにそんな重いもの、持たせるわけないでしょー。」
にゃはーと笑う密さんと私の手元には、大量の段ボール。
「なんか、段ボールばっかりですね。」
この部屋は最低限の家具しかないくせに、段ボールが以上に多い。
「そりゃねー、仕事道具だし。」
「!」
思わず密さんの顔を見上げてしまった。
仕事…。
「なにー?俺が無職だとでも思ってたー?」
「いえ、刑務所あたりから出てきたのかと。」
「…優ちゃーん…。」
「どこにいたんですか?大学ですか?でもだったらまだ…。」
質問する私の頭に、密さんが手を置いた。
…子供扱い?
振り払おうとして密さんの顔を見て、その優しげな眼に何もできなくなった。
こんな眼、今までしなかったくせに。
誰なんだ、あなたは。
眼をそらさない密さんにいたたまれなくなって、私が視線を外す。
私の髪に触れながら密さんは言葉を紡いだ。
「俺はねー、優ちゃん。外国に行ってたんだよ。」
「…えっ、」
意外すぎる答えに、もう一度視線を合わせた。
