陽希が忘れ物でも取りに来たのだろう。
ワイシャツを脱いでTシャツを手に取る。そのシャツにプリントされた女性の顔は、美人だと思う。
…別に男の顔の善し悪しがわかんないわけじゃない。
独り唇を尖らせる。
それが好きとかに結び付く感覚がつかめないだけで、たぶん有森兄弟はイケメンだし、二人目の彼氏だって悪くなかったハズだ。(たぶんそんなことを考えたからめんどくさくなったんだろう)
だからたぶん、
そう、密さんだって…
ドタドタドタ…
ガチャッ
「優ちゃん!」
「…………あ。」
Tシャツにプリントされた女性の顔を見つめていた私は、もちろんまだそれを着ていなかった。
「……見ちゃった、えへ。」
「は、やく出てけ変態野郎!!!」
適当に掴んで投げた枕は、ちょうど締められたドアに当たって落ちた。
むかつくむかつくむかつく!
「ごめんよー、悪気はなかったんだってー。」
「言ってる側から覗くな変態。大体ね、女の子の部屋をノックもなしにー…。」
