白い息を吐きながら僕は、少しでも広い夜空を見たくて文明の大群から抜け出す。 身を切るような寒さにコートのポケットに素のままの両手を突っ込んで当てもなく歩く僕は、この深夜にただの怪しい人でしかない。 不審者の徘徊。 そう通報されてもおかしくはないけれど。