いけない、いけない。
とっても大切な物を忘れるところだった。
『……あった…』
机の上に置いてあったブレスレッド。
私はそれを左腕につけた。
『………っっ』
今年の、私の16歳の誕生日に買ってくれたお母さんとお父さんからの物。
お母さんとお父さんが〝死んだ〟ということはまだ実感できないけど、これだけは持っていて損はないと思った。
ガチャ――
〝私の家〟を出て、思い出のたくさん詰まった家を前から見つめた。
『……さようなら、私の家…』
午後2時ちょっと過ぎ。
私は自分の家を出て、駅に向かった。
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