「春の初め以来だな、ここに来るの。夏はここが一番涼しいかもな」


試しにどうでもいいようなことを修平に話しかけてみたが、ほとんど反応はなし。


「そうだねぇ・・・ああっ!!!!」


突然の修平の大きな声に、周りにいた何人かが一斉に顔を向ける。

近くにいた俺はというと、あまりの驚きに体が一歩ひいてしまったくらいだ。


「どうした?」


「い、今汐崎さんの投げたボールがまもりちゃんの足に・・・超痛そう!ケンケンしてるし!俺、まもりちゃんと交代してくる!尚哉はゆっくり休んでて!な!」


修平は俺の肩をポンッと叩くと、慌てて走っていってしまった。


あれ?何?

もしかして・・・そうなの?


今までの修平の様子をグルグルと振り返っているうちに、修平は全速力でグラウンドを横切り、まもりの側へと駆け寄っていた。


「分かりやすいわ・・・・・・」


そんないじらしい親友の姿を見せられたら、俺の話したいことはどうでもいいようなことのような気がした。


修平はいつもそうだ。

いつだってああして懸命になってくれるんだ。