昼休み。

いつものように柚にキャッチボールに誘われたが、俺は断った。


柚は朝練のせいだと思いこみ、体力ないなあとぶつぶつ言いながら、まもりを引き連れてグラウンドに行ってしまった。

まもりは、『柚のボールはとれないよ』と泣きべそをかいていたが、柚はそんなこと関係なしにまもりからゴムを借り器用にまもりの長い髪を束ねると、『大丈夫、大丈夫』と言っていた。


俺は、絶対大丈夫なわけない・・・とまもりを哀れんだ。


本当は修平を変わりに行かせれば良かったんだけど、そうはいかなかった。

俺は練習前に修平に話しておきたいことがあったんだ。


でもどうしたことか。

話をしたいことがあるのに、当の本人は上の空だ。


ぼんやりと屋上のフェンス越しから、グラウンドにいる柚とまもりを見つめては、肩をがぐんと落とすほどの大きなため息をついていた。