その日は野球部の練習を見ながら、柚のキャミソール姿しか浮かんでこなかった。


悲しい高校生男子の性だった。




いったい前のチームメートは、どんな風に柚と接してたんだ?



男並みにプレーが出来るって言ったって、女には変わりないだろう?





帰り道、俺は案の定修平にからかわれた。




「お前、他の部員達にうらやましがられてたぞ」




「は?何が?」




何のことか分かっていたけれど、ニヤニヤ笑う修平にイラっときて、わざとぼけてみせた。




「いや、ほら。汐崎の裸見たって」




「あほか。裸じゃなかったし、服着てたし。別に見たうちにはいんねえよ」




「ふうん」




修平は俺の顔を怪しげに見ながら口をとがらせた。




「まあいっか。明日からまた野球頑張ろうぜ。汐崎のプレーも楽しみだな」




修平は俺の肩に手を置いて微笑んだ。





柚のプレーか……。





俺の中では、ものすごいプレーをしていた中学時代のあいつと今のあいつは結びついていなかった。