「木波、少しは落ち着いた?」


柚が走りながら自転車置き場から戻ってきた。


「お前、朝からすっごい元気なんだな」


「まぁ春からずっとだから、もう慣れちゃった」


「え?お前、今までずっと朝練してたの?」


「ああ、うん。そのくらいしないと甲子園で優勝なんて無理でしょ?」


柚はそれが当たり前かのように真顔で答えた。


「・・・・・・そ、そうなんだ」


知らないとこで、こっそり練習してたなんて・・・・・・。

尊敬するな。

やっぱり柚は強い。


俺はそんなことを思いながらストレッチを始めた。


「6時30分になったら、黒須先生も来てくれるんだよ」


柚はそう言いながら、俺の背中をギュウギュウと押した。

あまりの痛さに俺は背中を反らせて少し抵抗した。