グラウンドに行くとジャージ姿でグラウンド整備をしている一年生の姿があった。


10人前後だろうか。


柚の姿はまだ見あたらなかった。


修平は俺が固まっている間に、もう着替えを済ませてしまったらしい。


すでにレイキを手にグラウンドを整備していた。


相変わらず元気なやつ……。



遅れをとった俺は、急ぎ足でグラウンド脇にある野球部の部室に向かった。


部室の扉には先輩達が残したであろうメッセージが、たくさん書き込まれていた。

それを見ながらドアノブを回し、扉を開けた。




「っ!!うわっ!ごめん!」




バターーーーーン!!




俺はあわてて扉を閉めた。

勢いよく閉めた扉の音に、グラウンドにいた何人かの目が俺に向いた。



「いんだよ、入っても。あたしそういうの気にしないからさ」



扉の向こうから、柚のあっけらかんとした声が聞こえた。



「んなわけにはいかねえだろ!」



俺の声は動揺のあまり少し裏返っていた。



だって…扉を開けた瞬間、スカートにキャミソール姿の柚がいたんだ。



「そう?中学の時はいつも男子と着替え一緒だったけど?」



素早く着替えて部室から出た柚が、にんまりと俺に微笑みかけた。



「高校生なんだから恥じらえよ」



俺は女子からぬ柚の態度に呆れていた。


柚は俺をしばらく見つめると、何もなかったかのようにグラウンドへ駆け足で向かっていった。