「懐かしいな」


「うん」


柚は俺を見上げて微笑んだ。


「・・・・・・終わっちゃったんだよね」


「うん」


「尚哉はこれからどうするの?大学から声がかかってるって、黒須先生から聞いたけど」


「うん・・・それはもう少し考える。今はまだ・・・・・・」


「そっか。じゃあもう少しだけ一緒に野球出来るかな?」


「もう少し?遠慮すんなよ。柚がやりたいっていったら、俺いつだってやるし」


「へへ・・・・・・」


柚が恥ずかしそうに微笑んだ。



俺は手に収まったボールを、柚の手にキュっと握らせ、俺の手で包み込んだ。