ユニフォームに袖を通し、ウォーマーを羽織る。

スポーツバッグを軽々と肩にかけ、家を出た。




あの重さはもう、無かった。



駅の入り口で修平と鉢合わせた。


「おはよう、尚哉。昨日はよく眠れたか?」


「おう。意外にも・・・こんなにぐっすり寝られたの久しぶりかも」


「そっか。俺は緊張しちゃって眠れなかったぜ」


苦笑いを浮かべる修平。


「ここまで来たんだ。後悔しない試合にしようぜ・・・って俺言っても説得力ないか?」


「そんなことない。尚哉は変わったよ。今の尚哉となら・・・俺、もし負けたとしても絶対泣かない」



「修平、ありがとな。お前が俺のこと野球部に誘ってくれて、本当に良かった。野球が嫌いなまま終わらなくて良かった」