【完】青春PLAYBALL!!

大きく息を吸い込み、不安と一緒に息を吐き出す。



コンコン



「おう、入れ」


「失礼します」


ドアノブを一気に回して、扉を開ける。

中にはパイプ椅子に深く座りこみ、腕組みをしている黒須先生がいた。


表情は曇りがちで、無精髭が所々に見える。

いつもきっちりしているはずの黒須先生が、今日はいつになく疲れているように見えた。


俺は黒須先生の斜め横に置かれたパイプ椅子に座った。


黒須先生は俺の顔をしばらく見つめ、ふうっと息を吐き、首をダランと下に下げた。


「木波は知っているのか?柚が女子野球のワールドカップ辞退するって話し」


「・・・・・・はい」


「そっか。やっぱり柚は、お前には話してたんだな」


黒須先生は俺の言葉を聞くと、顔を上げ、困ったようにふわっと笑った。