「尚哉、ポッキー食べる?」


バスの隣の座席にいた修平が口にポッキーを入れ、口を尖らせる。


「やめて・・・今ふざける気分じゃないから」


俺は、修平に冷静につっこむと、もう一度窓からの景色を眺めた。

見慣れない風景が新鮮で少しドキドキしていた。


「えーなんで?せっかくの修学旅行なのに・・・楽しくいこうよ!」


あからさまにテンションが上がっている修平。



幸せだ、こいつは・・・・・・。



東実高校二年生は、今日から四泊五日で修学旅行だ。


結局柚に思いを伝えられないまま12月。

いつもと変わらない日常とは違う修学旅行の時間。

俺はこの修学旅行で、絶対柚に思いを伝えようと決めていた。




プシュー・・・・・・




バスが止まった。


「到着しました、広島お好み村です。お腹いっぱい食べてきて下さいね」


バスガイドのお姉さんが笑顔で俺たちを見送る。