7月初旬、驚きの知らせが東実高校野球部のグラウンドに届いた。

校長先生がものすごい勢いで、黒須先生の元へ走ってきた。

校長先生は指導中の黒須先生に、息を切らせながら報告した。


「くっ黒須先生ハァ・・・汐崎さんは?」


「ああ、汐崎なら・・・おい!汐崎ちょっと来い」


「はい!」


柚は帽子を脱いで校長先生と黒須先生の元へ駆け寄る。


柚が来るなり、校長先生が柚の手をギュッと掴んで、ブンブンと振った。


「汐崎君、おめでとう!台北行き決定したって!」


柚はポカンとして校長先生を見つめている。


「やったね!汐崎さん!」


柚から少し離れた所にいた宮田が笑顔で叫ぶ。


「ちょっと待てよ、なんだよ台北って」


修平が宮田に尋ねる。


「女子野球のワールドカップの開催地だよ!決まったんだよ、汐崎さん!代表に!」