【完】青春PLAYBALL!!

ベンチの前に整列し、隣になった柚に話しかけた。


「汐崎、どう?いけそうか?」


「うん。木波の葛根湯効いてきたのか、頭痛と咳止まったみたい。ありがとう」


柚はこっそり答えると、口の端を少しだけあげて微笑み、ダイヤモンドの中心を見据えた。


「ありがとう木波。この試合・・・私、絶対出たかったから嬉しかったよ」


「知ってる。本当に出られて良かったな」


俺もダイヤモンドの中心を見据えた。


練習試合とはいえ、柚と一緒に試合に出られることが本当に嬉しかった。

たとえ柚が見ているものが、俺が見ているものと違っているのだとしても、一緒の土を踏むことが俺の気持ちを高ぶらせた。



きっとみんなも同じ。



必死に頑張る柚を見て、いつの間にかみんなの気持ちも『甲子園』ってとこに進んでいた。