【完】青春PLAYBALL!!

自転車を急いで駐輪場へ停め、柚のもとへ走った。


控え室になっている体育館。


そこには、すでに練習着姿に着替えた柚の姿があった。


・・・・・・すぐ隣にいるのは三先?

後ろ姿で顔は見えなかったけど、きっと三先だ。


遠目から見える柚の顔。

なんだか怒ってるみたいだ。


駆け寄っていくと二人の話し声が聞こえてきた。


「だから、平気だってば。腕、離して」


「離せるわけないだろ?熱出てんだぞ?」


「私は絶対試合に出るの。離してよ」


柚が三先の手を腕から振りほどいた時、ちょうど俺と目があった。


「木波・・・・・・」


柚の呟いた言葉に、三先が反応して振り向く。

三先はギュッと閉じていた口を少しだけ開くと、俺に訴えてきた。


「木波。お前からも言ってくれない?こいつ熱あるのに試合に出ようとしてるんだよ。止めてくれよ」


三先の後ろにいた柚は、三先の後頭部をギリっと睨み付けた後、悲しそうな目で俺を見た。