【完】青春PLAYBALL!!

キキーッ



その時、俺の隣に勢いよく自転車が止まった。

音の方を見ると和由の顔が目に飛び込む。


「おー、和由おはよう」


「おはようございます」


「ゲホッゴホッ」


和由の声に被るように、背後から苦しそうな咳が聞こえた。

咳の方を見ると、そこにいたのは、マスク姿で目をウルウルさせた柚だった。


「姉ちゃん、帰った方がいいんじゃないか?熱あるし」


和由が柚のおでこに手をあてる。


「いいの。絶対出る」


柚は和由の手をパシッと払いのけ、マスクをとった。


「絶対、お義兄ちゃんには言わないでよ。和由も。木波も!」


柚はギロリと強い瞳で、俺と和由を睨み付けた。