柚はどうしてあんな表情をしたのだろう?


俺は朝からずっとそのことばかり考えていた。

言いたくないような理由だったのだろうか。




あっという間に部活の時間になってしまった。


考え事をしながら、外野に生えた草を抜いていると、柚が話しかけてきた。


「木波って上手に草抜くね。私なんて見て、ほら」


柚は、俺の隣にしゃがみこむと勢いよく草を抜いた。


「草の抜き方すら男前かよ、お前は」


柚の破天荒ぶりに、俺はつい笑ってしまった。