解散した後、柚は帰ろうとしなかった。

グラウンドを見つめながらぼんやりと考え事をしている。


「柚さん、どうしたんですか?途中まで一緒に帰りましょうよ」


ハルが柚に駆け寄る。


「ごめん。先に帰ってて。少し考えたいことがあるから・・・・・・」


柚はハルに申し訳なさそうな笑顔を向けた。


「それじゃ、母さんには伝えておくな。もし遅くなりそうなら家に電話して。ハル、行くぞ」


ハルの隣にいた和由が、ベンチ脇に置いてあった柚の荷物を持ち上げ、ハルをぐいっと引っ張った。


「木波先輩も。今はそっとしておいたほうがいいと思います」


和由がすれ違いざまに俺の耳にそっと伝えた。




だけど・・・・・・。



修平とバスに乗ってからも柚のことが頭から離れなかった。


バスが走り出して10分くらい経った時、俺の体が自然と動いた。