【完】青春PLAYBALL!!

どうにもしてあげられない自分が悔しかった。

唯一出来ることと言えば、夜の冷えた風から柚を守るために、俺が着ていたパーカーをかけてあげることくらいだった。


「やっぱり木波は優しいね」


柚は俺のパーカーを両手でクイっと持ちあげ、かけ直しながら嬉しそうに笑った。


「そうか?別にそうは思わないんだけど」


「ううん、優しいよ」


柚がしばらく俺を見つめ笑うと、パーカーの帽子を被りスッと立ち上がった。


「負けるなよ」


柚の立ち上がった姿を見た時、無意識にその言葉が出た。

柚はその言葉に、コクンと頷いた。

帽子を被っていたから表情は分からなかった。



柚、お前笑えてるか?