「別にそんなつもりで話ししてんじゃないし」


「じゃあなんなの?なんであんな仲良しなわけ?ベンチで二人っきりでさ。楽しそうにしてたじゃん」


「まぁそれは色々あってな・・・・・・」


俺は今日のいきさつを修平に話した。


話し終わる頃、ちょうどバスが隣町に到着した。
家が逆方向ということもあり、話しはそこまでになった。



「はぁ・・・質問攻めで疲れた」


家路へと続く薄暗い路地を歩きながら、俺はぼんやりとあの言葉を思い出していた。




『普通じゃない』



何に対してこんな言葉を使ったのか、俺はまだ理解できずにいた。



その時、制服のズボンのポケットが細かく震えた。

ポケットから携帯を取り出すと、メールがきていた。

綾からだった。


『お疲れ様。練習はどう?中学校の時よりきついのかな?そうそう、聞きたいことがあってね。東実野球部に汐崎柚って子いる?』


予期せぬ内容のメールだった。

どうして綾が柚の名前を知っているんだろう。


俺は昨日のようにあっさりと、携帯電話を閉じられなかった。