「木波はさ、ハルの事あんまり好きじゃないの?」


柚がスマッシュを打った。

一本目だからかラケットのはじに羽が当たって、カキっと音がした。


「そういうわけじゃないけど」


「またまた隠しちゃって。楢崎から聴いたよ。練習終わった後言い合いしてたって」


修平のやつペラペラしゃべりやがって・・・・・・。


原因が柚だっただけに、隠しておきたかったのに。


「何が原因で言い合ってたの?」


「たいしたことじゃねえって」


ほら。

柚のことだから当然聴いてくるんだよな。


「ふうん」


柚は気に入らなかったのか、俺に向かってスマッシュを打ってきた。

羽は俺の顔めがけてとんできた。

とっさに体を反らす。


「あ・・・ぶねえ」


針のように刺すような羽。

危うくあたるところだった。