イライラしていた。


あの日以来、柚とのキャッチボールの時間が減った。


朝練に行くと、待ちかまえたようにハルがいて・・・・・・。


ハルはどこから嗅ぎ付けたのか、いつの間にか朝練に顔を出すようになっていた。

朝が弱い和由がいないのも手伝って、柚にベッタリだ。

柚もさすがに根負けしたのか、時々ハルを相手にキャッチボールをするようになっていた。

俺も、ハルの言葉を否定したくて、ついつい相手を譲ってしまう。


「なんだ?練習相手が俺じゃ不服か?」


俺の球をどっしりと待ちかまえるように構えながら、黒須先生が話しかける。


「え?・・・・・・んなわけないじゃないっすか。まぁ、コントロール狂わないようにって、汐崎よりは気使いますけど」


とか言ってるけど、本当は不服だ。


なんだろう。


柚とキャッチボールが出来ないと、何か物足りない。


そんな気がする。