少しずつ・・・少しずつ。


柚に抱くイメージが変わってきた。


あの時、俺のライナーをダイビングキャッチでとったあいつ・・・・・・。


「ようし、キャッチボール!」


三年の笹キャプテンが部員に指示を出す。

柚が俺の元に駆け寄ってくる。


「木波、ボールもったよ。いこう!」


「え!?尚哉俺とキャッチボールしないの?」


修平が悲しそうに俺に訴える。


「ごめん!今日だけ私に木波君かして!」


女の子のお願いに弱い修平は、あっさり了承した。



位置について、キャッチボールが始まった。


まずはアンダースロー。

久しぶりのキャッチボールだ。

一球一球確かめながら投げていく。


次はオーバースロー。

二十球ほど投げただろうか。



パーン!!!



俺のグローブの中で音がはじけた。


「すげえ、いい球!」


そう言って驚いたのは、隣でキャッチボールをしていた修平だった。


俺も驚いて、グローブに吸い付くように収まったボールを見た。


ふと顔をあげ、柚の顔を見る。