柚がおかしい。


いつもなら練習中は、修平に負けないくらい声を出すのに。


夏バテとか・・・・・・?


夏休み中は午前午後と練習が続き、炎天下の中での練習はきつい。


それにまして、3年生が抜けて部員は現在8人しかいない。

練習以外の部分でのグラウンド整備や、フリーバッティングで打ったボールの処理。


いろいろな部分で、人数の少ない分のしわ寄せが俺たちの疲労を大きくしていた。


それが原因か?


それが原因じゃないとしたら、あとは・・・・・・。


柚の変化は、普段一緒にいる修平とまもりも感じていたようだ。


「ねぇ、柚?具合悪いの?」


まもりがベンチに座ってボールを磨いている柚に、心配そうに尋ねた。


「え?そんなことないよ。元気元気!」


笑顔で明るく答える柚。

その様子を俺と修平はレイキをかけながら遠くから見つめる。


まもりは俺達の方へ顔を向け、左へ首をひねった。


「絶対変だよね、汐崎さん」


「うん」


「二人で土根の試合見にいってからああじゃない?」


「え?」


「まもりがうじゃないかって」


「やっぱりお前達もそう思ってたんだ」