部室のドアにそっと耳を当て、中の物音を探る。


「汐崎さん、別の所で着替えることになったらしいよ」


修平がにやにやと話しかけてきた。


「お、おう。そっか」


そうは聞いたもののやっぱり不安で、中の様子をそっと覗いてから入った。

部室で練習着に着替え終え外に出ると、柚がレイキをかけていた。


俺の記憶が蘇ってくる。


まだ高校のチーム帽がない柚は、前のボーイズチームの帽子を被っていた。

ショートカットは帽子に隠れ、スレンダーな柚は、まじまじと見なければ男に見えないわけでもない。


レイキのかけ方も慣れてる感じ。

やっぱり野球をやってきたやつなんだと実感が沸く。




練習が始まった。

俺は柚の動きが気になってしょうがなかった。

ランニングやダッシュといった走力に関しては、男子に負けないくらい走れている。


いや・・・むしろ勝っている。