柚はしばらく、視線をわざとそらせている俺を見つめ、何かを考えついたかのように微笑んだ。 「いいよ、今日一緒にキャッチボールしようよ。ええっと名前。名前なんて言うのかな?」 「……木波尚哉」 「オッケー。じゃ、また部活でね」 そう言うと柚は教室から出て行った。 何かふっきれたような、そんな笑顔が不気味だった。 「……キャッチボールしたら分かると思うよ」 まもりが俺の顔を見てそう呟いた。 「え……?」 一体どういうこと?