タタンタタン・・・タタンタタン・・・・・・



『まもなく県営球場前です。お出口は右側です』


「汐崎起きろ、着いたぞ」


俺は左肩にもたれかかった柚の頭を、右手で起こした。


「んんー・・・・・・?」


柚はグッと伸びると、目をこすってまた眠ろうとした。


キキーーーーッ
プシュー


「ほら、早く」


俺は柚が抱えていたリュックを肩にかけると、柚の腕を引き電車を降りた。

電車から降りると夏の熱気が肌にまとわりついた。


「あつい。ここどこお?」


柚が頼りなさそうにフラフラ歩きながら俺に尋ねる。


「県営球場だよ。・・・・・・ったく、決勝見にいこうって誘ったのお前じゃないか。目覚ませよ」


「ケッショウ?・・・・・・決勝!」


柚はその言葉で我に返ったかのように目を見開いた。