「すごい!頭文字が出てくる時点ですごい…私なんてクラスメートの名前一人も覚えられてないのに」



柚が目を見開いて俺を見た。



「そりゃ覚えなさすぎなんじゃねえか?」



こいつ、結構適当な性格なんだな。



「あ、ちなみにちなみに。私の名前はなあんだ」



柚は俺に近づき、顔に自分の指を指して訪ねた。



「汐崎柚」



「うっわ!すごいフルネームじゃん!」



まもりが駆け寄ってきた。


しまった。

つい勢いで……。


これじゃあ、俺が柚に興味津々みたいじゃないか!



「ほら、やっぱり女子で野球するっていないから、印象的だったし。記憶に残ってたんだよ」



「ん!納得」



俺の取り繕った言葉に、大きく頷いた柚は、自慢気にまもりを見つめた。


まもりは不機嫌そうな顔を柚に返した。