ガンッ!!


「いった!!」


まもりちゃんの手からすり抜けたジュースの缶が、俺の足の甲に落ちてきた。


「あっ・・・・・・」


慌てて立ち上がるまもりちゃん。

ふとまもりちゃんの顔を見上げると、唇を片手で押さえて顔を真っ赤にして立ちすくんでいた。


「ゴメン!」


俺は慌てて立ち上がって頭を地面につける勢いで振り下ろした。


おそるおそる顔をあげると、まもりちゃんの目からは涙が溢れていた。


「先に帰る・・・・・・」


そう言ってまもりちゃんは涙を見せないようにさっと振り返ると、駅の方へと走り去って行ってしまった。


ガクンと力が抜け、ベンチに吸い込まれるように座り込んだ。


「泣いてた・・・俺、何した?」


さっきのことを思い出す。

右の手をまもりちゃん、左の手を俺の顔だと仮定して・・・・・・


「・・・・・・こう、まもりちゃんの顔に近づいていって・・・なんか可愛くてしょうがなくなって・・・・・・」


パチンと両手を合わせる。


「・・・・・・俺、まもりちゃんにキスした・・・キスした!?」


とんでもない事実に気づき、必死に駅に向かって走る。


だけど、まもりちゃんの姿はもう駅には無かった。