止む事を知らない この、長く冷たい雨の中 歩道橋で傘も差さずに ただ、行き交うライトを 気力も無く眺めては 溜息を吐く少年――。 有村 遥稀(アリムラ ハルキ)がいた。 脳内では「よろしく哀愁」が、 延々とリピートされている。 そしてまた、溜息が一つ。 「会えない時間が 愛育てるのさ」 雨に濡れた髪を掻き上げて、 零れた溜息を覆う様に 薄く苦笑いを浮かべる。