翌日、私は寝坊した。

目覚ましは確かにかけたはずなのだが、ついさっき目覚ましを止める夢を見た気がした。

きっと夢と現実が重なったのだろう。

夢の中で止めたはずの目覚ましは、現実のものだった。


 朝からこんなことを考えると頭が痛くなってくる。

私は水を求め、台所へ向かった。

「おはよう」

 意識せずとも発せられるこの言葉の返事は、聞こえて来なかった。

 改めて冷静に時計を見てみる。

九時ちょうど。

確か今日は月曜日で、学校があるはずだ。

 水分補給を諦め、急いで制服に着替える。

空っぽの鞄を持ち、飛び出すように玄関を出た。

 教科書を入れることなど、忘れてしまうくらい焦っていた。

途中であまりの走りの快適さに違和感を感じたが、何も考えないことにした。