「でるはでるよ。でも俺は一応魔法とか使えるし..なんとかね」
ライトはやんわりと答えた。
心配していたのか、ミルは不安な表情をすぐに明るくして「そうですか」と言った。
「うん。だから大丈夫。なんか心配してくれてありがとう。」
ライトはこの子は優しい子だと思った。
初対面の人に(まぁ竜族なんだけど)今時これ程他人に優しくなんてできない。
「それより、ここはなんて町?」
「あ、はい。ここはゼノースと言う所です。町というほど大きくはないんですけどね」
ミルは少し笑い続ける。
「そしてここから西の方へ3時間ほど歩いた所にはグラセルと言う都市があります。大体の人々はそこへ移住してしまって、ここじゃもう数えるくらいしか住んでる人はいないんです」
なるほど。
ライトはそう答える。
「ミルは都市にはいかないのか?」
「まだここは住めますし、育ってきた場所なので当分いきませんよ」
ミルは寂しそうに笑いながら言う。
コロコロと表情を変える子だ。
