しかし、一瞬だけ絡み合った視線はすぐに外されて、章也くんは仲のいい友達がいる席の方に移動していった。

 こういう事は初めてだから、どういう態度をしたらいいのかわからない。

 それでも、章也くんが学校に来たということに、心のどこかで安心していた。

もし、章也くんに学校を休まれたりしたら、どんどん気まずさは増すばかりに違いない。

 しかし、それにしても章也くんの態度は予想外だった。

 だって……私と同じくらい傷ついていると思ったのだ。

 同じクラスで隣の席にいる女の子に告白するぐらいの勇気を必要とするぐらい好かれていると、そう思ったから断った事ですごく傷ついているんじゃないかと思った。

『俺、一年前、同じクラスになった時からずっと麻生のことが好きだったんだ』

 あの時、そう言った章也くんは緊張した面持ちで私を見つめた。

私の知っている岩田章也という男の子は、いつでも冗談ばかり言って笑っている騒がしいクラスメートだった。

でも、あの時の章也くんは緊張のせいか怖い顔をしていて、まるで私の知らない人みたいだった。

本気なんだ。

それが伝わってきたから驚いた。