その言い草があまりにもおかしかったので私は吹き出してしまった。

「何それ?」

「言葉通りさ」

「変なの」

「変なのは麻生の方だろ。麻生は自分の気持ちが知られたくないからって俺の事を彼氏だとか言っちゃうような奴なんだから」

 章也くんの言葉に私は何も言い返すことが出来なかった。

 そのとおり、と認めるのも癪だし、だからってさっきの今でそれを否定することも出来ない。

「まあ、いいや。それで麻生は俺に何が聞きたかったわけ?」

「え……っと。何だっけ?」

 決してとぼけたわけではなく、突然のママと吉田さんの出現にテンパった私は章也くんに何を聞くつもりだったのか忘れてしまった。 

と、言うよりはテンパって章也くんを連れ出したものの思いがけない二人の出現で気持ちが冷静になったと言った方がいいかもしれない。

「あのなあ!」

 章也くんは私の言葉に呆気にとられたような表情をしてから文句を言おうと口を開いた。

けど、言葉は紡がれることなく、呆れたように肩をすくめただけだった。

「まあ、いいか。麻生が最近、元気がなかった理由も分かったし、それでよしとしよう」

「は?」