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「どういうことか説明してもらう権利が俺にはあるよな?」

 根気よく私が落ち着くのを待っていた章也くんは開口一番そう言った。

 私は力ない様子で頷いて章也くんを見た。

私は章也くんの存在を利用した。その訳を知る権利が彼にはあるだろう。しかし、どう説明したらいいか、何から話したらいいか分からなかった。

「どこから話したらいいのか……」

「じゃあ、まずさっきの二人について話してもらおうかな」

「さっきの二人は私のママと……その恋人で……これから再婚するって話になっている人」

「それだけじゃないだろ?」

「え?」

 章也くんが真剣な顔をしていた。クラスの誰も章也くんのこんな顔を見た事がないだろうと思った。

「麻生の前に言っていた好きな人ってあいつじゃないのか?」

「……分かる?」

「そりゃあ、あんなにわざと顔を見ないようにしていれば、何かあるのかなって思うよな。それにそうじゃなきゃなんであんな嘘をついたのか分からないよ」

 あんな嘘。

 その言葉に私は渇いた笑いを漏らすしかなかった。

 そんなにバレバレなのか。

それは章也くんが鋭いからなのか?

それとも私の態度がそんなにあからさまだったからなのだろうか?