嘘をついている。

 その事実を意識するとへこたれそうだ。それでもここまで来たらこの嘘はつき通す。

「遥日ちゃんの彼氏?」

 半信半疑なママの口調。

 ママは十七で私を生んだくせに十三の私に彼氏がいる事が信じられないようだ。

「そうよ」

 私は胸を張って答えた。

 章也くんはもう何も言うつもりもないらしい。私が何をするつもりなのか見届けるつもりだ。吉田さんも同じでママの隣で私たちのやりとりを見届けている。

「それじゃあ……」

「ここで大切な話をしていたの。昨日、突然泣いちゃったのも岩田くんと喧嘩したことを思い出したからよ」

「そうなの?」

「うん。だからママの再婚を反対する気持ちなんてないよ」

 一気に言ってしまってから息をつく。

「本当に?」

 ママの声が少し弾んだ。昨日の事で私がママの再婚に乗り気ではないと思っていたから、私のこの言葉は本当に嬉しいものだったに違いない。

本当を言えばママと吉田さんの再婚なんて考えたくもない。

ママが再婚するということは吉田さんが私の義父になるということであり、いやでも毎日顔を合わすことになる。それに耐えられるかと言えば自信はない。