私が立ち止まったのは私の住むマンションの近くにある児童公園だ。

この時間になると子供もほとんどいない。

誰にも聞かれたくない話をするには打ってつけの場所に思えた。

 私は児童公園に一歩足を踏み入れて周りを見回す。

章也くんも黙って私の後について来た。

 滑り台。

 鉄棒。
 
 砂場。

 ブランコ。

 ジャングルジム。

どの遊具も小学生だった二年前にはちょうどいい大きさだったのに、今の私にはずいぶん小さく感じられる。

 私は何も言わずブランコに座って漕いでみた。

 ブランコはギィーギィーと少し錆びた感じの音をたてながら、私を乗せたまま揺れていた。

章也くんは何も言わず私のする事を見ていた。

「私ね、小学校の頃、この公園でよく遊んでいたんだ。私って鍵っ子だったから外が真っ暗になるまで遊んでいた気がするけど、今の子は公園で遊ばないんだね……」

 二年という月日は短いようで長い。

きっと今の小学生と私の小学生だった頃では遊びの内容も事情も違ってきているのだろう。

「……最近はこの辺も物騒らしいから親が遊ばせないんじゃないの?」

 章也くんは律儀にも私の言葉に答えを返す。