「違うの。これは違うんだってば。ただビックリしただけ」

懸命に言い募ろうとすればするほど不自然さだけ残り、私は気まずい気持ちで黙り込むしかなかった。

ママはどうして私が泣いたと思ったんだろう？

私の吉田さんへの気持ちに気づいてしまうだろうか？

「遥日ちゃん、ごめんね」

　ママはそれ以上言葉を紡ぐことなく白々と時間だけが過ぎていった。