フローラ・ダン

「同じ境遇って訳ね…」ガーネットが呟いた。

「さて、あたしの話はお終い!フローラの番よ。話してくれる?」

ガーネットは少し遠慮がちに聞いた。

フローラは一瞬目を伏せ、ガーネットの目をしっかりと見据えて話し出した。

「私は生まれたときから“悪魔”が見えていた。
幼いあたしはそれが普通なんだと思ってた。

同様に家族が自分に対して冷たいのも普通の事だと思っていた。

でも違った…

4歳の頃よ。母さんと一緒に外を歩いていたの。
態度は相変わらずでね

回りにいる同い年ぐらいの子たちはみんな手をつないでた…


仲睦まじい親子を見てとても悲しかった。

『他の子はあんな風に優しくしてもらえるんだ。

お母さんが冷たいのはあたしだけなんだ。家族が冷たいのはあたしだけなんだ……』


そう思うと、とっても悲しくて悲しくて、思わず泣いてしまったの。

でも母さんの前で泣くともっとひどく冷たくされるって事を忘れていた。

その時母さんは、あたしをトイレに連れ込んで周りに誰もいないのを確認してからあたしを怒鳴り散らした。

『あんたなんかいなければいいのに!!』

これは日常茶飯事。

『あんたなんか死んでしまえばいいのよ!!
どこかへ消えていなくなればいいのに!!
このクズ!!ゴミ箱に捨ててしまおうか!!』

それは多分本気で言った事だと思う。

でもその後、こう言った。
『あぁ……ダメだわ……残念なことにあんたを捨てたら……大変な目に会う………』

って小声で言ったの。