フローラ・ダン

フローラの疑問に猫は答えた。


「あの子は私の弟のタイよ…今は絶縁しているけれど…」


そういった猫の顔は遠くを見つめ今にも泣きそうな顔をしていた。

「何故?姉弟なのに?何があったか……聞いてもいい?」


フローラは遠慮がちに聞いた。猫は弱々しく微笑んだ。


「いいわよ……でもご家族は大丈夫?明日も会えるわよ?」


そうだ。フローラは家族の存在をすっかり忘れてしまっていた。家族達は何とも奇妙な物を見る様な目でフローラと猫を見ていた。


「ねぇ、この猫家に連れて帰っ「ダメよ!!気味が悪いわ!!気味悪いのはあんただけで十分よ!!!」


ニーラに遮られた。まぁ予想の出来る答えだ。隣りでマシューが首を大きく縦に振っている。母親と父親は心ここにあらずだった。

(はぁ~~~~………そうよね………)


「じゃあいいわ。後から行くから先行ってて…家はどこ?」


「あの青い屋根の家よ…」

母親が答えるのと同時に家族達は家へ向かって動き出していた。


猫が目を見開いている。

「あなたも家族とは……その……うまくいってないの……?」