学校の中庭にはポカポカと温かい日ざしがさしている。
ピチチッと鳥のさえずりが聞こえる空の下、あたし達3人は流菜ちゃんを真ん中にして中庭の木製のベンチに並んで座っていた。
お弁当のふたを開けながら、流菜ちゃんは静かに口を開いた。
待ちに待っていた流菜ちゃんの話。
全神経が流菜ちゃんのほうに向けられる。
「あのね、流菜、みんなに秘密にしてることがあるんだぁ・・・」
流菜ちゃんは自分の膝を見つめながらポツリポツリと話し始めた。
「絶対びっくりすると思うし、多分2人ともひいたりするかもしれないけど・・・でも聞いてほしい。・・・・・・あのね・・・・・・」
流れる沈黙。
周りの生徒の声がのどかに響く。
少し間を置いてから、流菜ちゃんは言った。
「流菜・・・ね、・・・・・・水商売・・・してるんだ・・・」
・・・・・・。
・・・・・・え?
声が出なかった。
ひいたとか軽蔑したとかじゃなくて、びっくりしすぎて本当に声が出なかった。
開いた口が塞がらないってこういうことなのかもしれない。
佳耶も何も言わず、驚きをかくせない顔で流菜ちゃんのほうを見ていた。
流菜ちゃんは顔を上げることなく、また話し始めた。



